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【Mummy-D&KOHEI JAPAN】令和の東京で江戸さんぽ! 文化と暮らしを体感できるイチ推しスポットを巡る旅

Mummy-D&KOHEI JAPANの遠い目症候群#12


■400年経っても「日本の中心」として栄える日本橋
(by KOHEI JAPAN)

 

 そんなこんなで両国を後にした俺たち。スリスリを終え、次は颯爽とムーンウォークで「日本橋」にピットイン。「遠い目症候群」としては2度目の来訪。江戸幕府開府の際、江戸城の目の前に作った、当時としては巨大な木造の橋で、このエリアに造成された町人地区のシンボルとして、また江戸のシンボルとして架けられます。今僕らが見てるのは明治44年(1911)に架けられた石造りの橋です。

 

 日本橋架橋と同時期に幕府は江戸と各地を結ぶ東海道・甲州街道・奥州街道・日光街道・中山道の「五街道」を順次整備してゆき、慶長9年(1604)、日本橋の橋の中心地点を「五街道」の起点としました。400年経った現在でも、「東京まであと〇〇キロ」という表記はこの橋の真ん中の標識(日本国道路元標)が起点なのです。つまり今でも日本の中心は「橋の上」。なんか素敵ですね。「よっしゃ!日本の中心に立って“遠い目”だっ!」と行きたいところですが、橋の中心なんて、交通量の多さで、とても行けたもんじゃありません。レプリカの標識が橋の袂にあるので、我々はそこで我慢です。

 

 五街道の起点となった日本橋。水上交通や町人街の発展、そして各地から訪れる人々や物産で、街は大いに賑わいます。経済、商業の発展と同時に、全国から多種多様な文化や技術も流れ込み、ここ日本橋を舞台に、独特で唯一無二な「江戸文化」が形成されて行くのです。その1つに「食文化」があります。なんと日本橋は日本初の「魚市場」が作られた場所なのです。

 

 江戸湾で獲れたいわゆる「江戸前」の魚介類はすぐに水路で日本橋に運ばれ、日本橋川沿いにある魚屋の屋台に並べられたといいます。日本橋の魚市場は常に買い物客で溢れ返り、水路は平田船でごった返し、大変な盛況だったとか。さらに近隣には干物、佃煮、練り物などの加工品を扱う店も増え、「江戸の食の四天王」と言われる、寿司、天ぷら、うなぎ、そば店が次々と開業。ほかにも、日本伝統の「食」や「技」を伝える老舗も同時代に数多く創業し、現在もなお、魅力的な商品や料理、技術を提供しています。いくら五街道の起点といえども、この魚市場がなければ、江戸の食文化はここまで発展していなかったでしょう。

 

 日本橋の袂の日本国道路元標のレプリカの、道路を挟んで反対側に「日本橋魚市場発祥の地碑」が建っています。視界はビルに囲まれ、橋の上は首都高に覆われている現在の日本橋ですが、遠い目をすれば見えてきます。江戸時代の人々の往来、活気。舞い上がる土埃、川にはひしめく荷を運ぶ船、店先に並ぶ新鮮な江戸前の魚介類。魚を売る掛け声、江戸っ子達の息吹、立ち込める潮や魚の匂い……。2040年頃には橋の上の首都高が撤去されて日本橋に空が戻るといいます。まだまだ江戸文化に触れることができる散策スポットが日本橋には豊富にあります。散歩好きな方は東京駅八重洲口から徒歩で向かうのもいいですね。

橋柱の銘板には、15代将軍・徳川慶喜の揮毫が刻まれている。

■時を越えて江戸の味を現代に伝える鰹節専門店「にんべん 日本橋本店」
(by Mummy-D)

 

 とは言えさあ、あの日本橋三越前に、そんな生臭い匂いが漂ってたなんて、やっぱどうしても考えらんないんだよなー(ブツブツ…)でも注意して見てみると、山本海苔店始め、周辺海産物の老舗多いなあ。

 

 そんな中、我々が訪れたのは商業施設「COREDO 室町1」の顔、「にんべん 日本橋本店」。にんべんは言わずと知れた元禄12年(1699)創業、老舗中の老舗の鰹節専門店。本店とは言っても重厚さはなく、明るくオシャレなアンテナショップといった佇まいで、とっても入りやすいっす。

 

 店内では実際に鰹節が削られ、日本人として抗い難い芳醇な香りが一面漂っており、お腹空きます(笑)。我々も実際に削らせてもらいましたが、コツを掴まないと中々難しいし、何より本枯鰹節の硬さに驚きました。木なんてもんじゃないよ! 全く現代人の我々は、鰹節と言ったら削ったふわふわのアレしか知らないんだからね(汗)。

鰹節削りを体験させていただくことに。これが意外とコツがいるのです。

 我が家は子供の頃からずっとにんべんの『つゆの素』なのですが、関西のつゆと比べると若干甘めかなあ。でも、いいとか悪いとかじゃなくて、これじゃないとダメなんすよねー、これで育ってきちゃってるんで。最近やっと気づきましたよー…なんて話をスタッフの方としていたら、「そう仰って頂くこと多いんです」と、本当に嬉しそうになさっていたのが印象的でした。

 

 料理は母親が亡くなってから始めたのですが、あのオレンジのラベルはお袋の味であり、我が家の食卓の、ささやかな贅沢だったんだなあと、今更ながら。遠い目です。

普段から愛してやまないにんべんさんの商品と一緒に。

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Mummy-D&KOHEI JAPAN(まみーでぃーあんどこーへいじゃぱん)
Mummy-D&KOHEI JAPANまみーでぃーあんどこーへいじゃぱん

Mummy-D(兄)
1970年横浜市生まれ。ラッパー、プロデューサー。1989年に宇多丸と出会いRHYMESTERを結成。日本のヒップホップ・シーンを、黎明期から開拓、牽引してきた立役者。近年は益々旺盛な音楽活動に加えて、役者業や、歴史好きが高じて、歴史にまつわるトークショウに登壇したり、桑名市の歴史観光PRアドバイザーを務めるなど、活躍が多岐にわたる。近作にライムスター・アルバム『Open The Window』(2023:Billboard週間8位/Billboard配信1位/オリコン週間12位)。2024年にキャリア35年目のソロデビュー! Mummy-Dソロアルバム『Bars of My Life』配信中。

HP: https://www.rhymester.jp
Instagram: @mistadrunk

 

KOHEI JAPAN(弟)
1971年横浜市生まれ、ラッパー、プロデューサー。1994年、ラッパーのKINらとメローイエローを結成。マチズモとは一線を画す、等身大でユニークな世界観が、その後の日本のシーンに多大な影響をもたらしている。またソロアーティストとしても活躍。「生活レベルの喜怒哀楽」を巧みにヒップホップに昇華して、報道番組、新聞各紙などでも特集されてきた。兄とともに歴史好きとしての一面も持ち合わせ、明治維新150年という節目に、佐賀藩の歴史をラップで紹介、肥前名護屋城跡PRムービーの楽曲制作を行うなどの活動も。近作に8月リリース、KOHEI JAPANシングル「Dance In The Dark」が配信中!
Instagram: @koheijapan_

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